ひと言ではない感想

 作画が酷すぎなのだが戦闘シーンでの動きはすこぶる良いという珍しいパターン。絵コンテ・演出・作画監督の全てを1人で担当しているのが原因だろうか。何にせよDVDでは作画が修正されてると良いな。
本編の方は3度目のヴォルケンリッターとの衝突なのだが、またしても仮面の戦士の介入で決着つかずの展開。第1期の第7話でも同様の展開で「いい加減決着つけろよ!*1」と思ったものだが、今回もそう思ってしまった。まあ、いずれ決着はつくだろうと思っていましたよ、第7話を見終わった時点では。

主役であるなのは、フェイトが闇の書の主であるはやてと出会うも、友達の友達から友達に関係が進展しただけで特にドラマは発生することがなかった。はやてが闇の書の主であることを知らなかったとはいえこのような展開になったのは、第2期における実質的な主役がヴォルケンリッターの4人だからなのだろうな。
主の命を救うため主との約束を破ってまで闇の書のページの蒐集を行う悲壮な決意、立ちふさがる強敵(なのは、フェイト)、闇の書のページの蒐集を手伝う正体不明の存在(仮面の戦士)というようにヴォルケンリッターを主役に見立てても物語が成立するなと思っていたのだが、あながち間違っていないようだ。

いやもう急展開。
まずはヴォルケンリッターの消滅。ストーリー的に必然はあるのだが実質的な主役の退場がなのは、フェイトと決着をつけずに退場するのは不満。終盤、何らかの形で復活すると思うが決着をつける展開にならないと推測しているのでなおさら不満。
仮面の戦士が同時に2人登場。放送開始前は仮面の戦士の正体はクライド(クロノの父)かと思っていたし、11年前の闇の書に関する事件で殉職したことが明かされたのでやはりそうかと思ったのだが、少なくとも9話に登場した仮面の戦士は別人。仮面の戦士が前回登場した7話放送後から流れた「仮面の戦士=リーゼアリア、リーゼロッテ」説が正解なのだろう。ただ、次回予告でクライドらしき人が回想シーンで登場していて、わざわざクライドの顔を明らかにしているので、まだ「仮面の戦士=クライド」説はまだ捨てきれないと思う。
ここから先は仮説を前提にした推測による感想。仮面の戦士=リーゼアリア、リーゼロッテであれば使い魔である彼女らの主のグレアムがヴォルケンリッターを手助けして闇の書の完成を目論んでいることになる。ただ、11年前の闇の書に関する事件で闇の書の封印もしくは破壊に失敗し、部下であるクライドを失ったこともあるので、目的はあくまでも闇の書の封印もしくは破壊。そこまでは良いのだが、問題に思うのは目的のために手段を選んでいないこと。この作品のキャラは原則として善人で、悪事を行ったキャラも情状酌量なり同情の余地があって「仕方ないか」と思えるのだが、グレアムのとった手段*2はそんな余地もないように思える。その辺りをどう決着させるのだろう。

公認の恋人関係だったはずの音夢と純一が周りから「兄妹だ」、「兄妹だ」と言われ続け、言いしれぬ不安を抱く様はまるでミステリー作品で、最後は当人までも恋人同士であることを忘れているのは、あたかも周りから言い続けることでそれを正しいと思い込ませる自己啓発セミナーのよう。一体何を見ているのかと思った。
復活した魔法の桜の木の影響でこうなった訳だが、誰のどんな願いを叶えればこんな展開になるのやら。まあ、誰の願い*3にせよ、その願いに音夢と純一が恋人同士でなくなることが含まれているのは生々しくて面白い。

*1:第11話で決着をつけている。

*2:なのは、フェイトの姿に化けてはやての目の前でヴォルケンリッターを消滅させることで闇の書の真の主への覚醒を促し、同時になのは、フェイトへの敵意を植え付けている。

*3:多分、アイシアかな。