牙-KIBA- #49 母と子

正気に戻ったふりをしてゼッドに毒入りスープを飲ませて殺し、アミル・ガウルを奪い取ろうとするサラ。毒入りスープを作っているときに計画を独り言で話してしまい、それをゼッドに聞かれて失敗する。そんなコメディみたいな展開だが、周りが何も見えないほどの狂気のサラと、そんなサラを見て涙するゼッドにこちらもちょっと泣けてきた。
力に取り憑かれた者、復讐などの負の感情に取り込まれた者は不幸な末路をたどるこの作品だが、アミル・ガウルの力に取り憑かれた*1サラも殺してしまうのは容赦がない*2。ゼッドはこれまで多くの不幸な末路をたどった者たちを見てきて、争いを終わらせると決意するのに十分な動機付けが行われているのに、母の死というさらなる追い打ちをかけなくてもいいのに。そして、最後の戦いは相手が親友だったノア。ここまで徹底的に主人公を追いつめた果てに作品としての結論がどうなるかが非常に興味がある。

*1:作中の描写だけ見ていると性的快楽を追い求めているように見えるのが何とも。

*2:せめてもの救いは、力を求める動機がゼッドを守るためであることを思い出し、死の間際の短い時間だが母親としての人の心を取り戻したこと。